5.17.2017

アイリッシュはジャガイモがお好き


ゴールデンウィークなどないここダブリンは、遅々とした歩みながら陽射しの暖かい日が増えてきました。朝夕はいまだにマフラーが手放せませんが、一日中晴れている日(めったにありませんが)はシャツ一枚でも十分な陽気です。

まだまだ知らないことばかりのダブリン。花より団子の私がまず気になるのが「食」です。
さて今日は何を食べようか。匂いのする方胃の向く方へと歩を進めると、レストランで、バーで、スーパーで、どこへ行ってもあるブロンド美人に出会います。紳士淑女少年少女みなを夢中にさせる金髪。それは、

出典http://www.cjoloughlin.ie/product/freeze-chill-frozen/
チップス(フライドポテト)


アイルランド人は大のチップス好き。付け合わせとしてでなく、むしろ主食として食べられています。英国圏ではフライドポテトを「チップス(chips)」と呼ぶのが一般的で、ポテトチップスは「クリスプ」と呼ぶんだとか。日本のものと比べるとより太いのが特徴です。

アイルランドでは、ジャガイモはパンと並ぶ主食とされていて非常に身近でポピュラーな食材です。日本人がおにぎりを食べるように、彼らはチップスを食します。

例えばこちらはスーパーのジャガイモコーナー。




いろいろな種類のジャガイモが山盛りに盛られても、閉店間際にはなっくなってしまいます。





冷凍食品コーナーもチップスがずらり。もうひと区画チップスコーナーがありましたが、写真に入り切りませんでした。こちらは油で揚げるだけ。若者たちの手にする姿が目立ちます。









惣菜コーナーだってジャガイモだらけです。チップスやローストポテト、ポテトグラタン。牛肉に添えられた白い球体はマッシュポテトです。

そして、ジャガイモを使った代表的な料理と言えば「フィッシュアンドチップス」。





白身魚(タラ類がメジャー)のフライとフライドポテトといういたってシンプルな料理。多くの場合、そこにエンドウ豆が添えられます。サクッと音まで美味しい衣はビールを混ぜて作るんだそう。レモンをしぼり、酢と塩をふりかけいただきます。写真のようにタルタルソースが用意されることも。日本人の私にはこの一皿でもうお腹いっぱい。白身魚のフライが大きい上にチップスとエンドウ豆ですから、とってもお腹が膨らみます。

クリスプを使った変わり種といえば「クリスプサンドウィッチ」。発想としては焼きそばパンに近いものを感じます。


(75%オフで0.38ユーロ)


袋の中には下の写真のクリスプと食パン2切れが入っていて、自分で作ります。クリスプはアイルランドで一番人気のメーカー「TAYTO」のチーズ&オニオン味。




表面にバターが塗られています。

その上にクリスプをのせて、 

サンドする。完成です。


みなさまご想像のとおり、食パンとチーズ&オニオン味のクリスプを一緒に食べた味がします。しかし、どうしてどうして食感がおもしろいんです。しっとりと舌触りの滑らかな食パンと、サクサクカリカリのクリスプとのコントラストが「あれあれ?もうちょっとあなたのことを知りたいなあ、もう一口」とさせるんです。
日本でも簡単に作れますから、ぜひお試しあれ。

このように切っても切れない関係にあるアイルランドとジャガイモ。そこには悲しい歴史も存在します。

アイルランド史上最大の災害「ジャガイモ飢饉」は世界史的にみても類をみない大惨事でした。
ジャガイモが持ち込まれた18世紀後半のアイルランドは、国民のほとんどが農業に従事しているとても貧しい国だったため、寒冷地にも強く生産性が非常に高いジャガイモは、庶民の食料として瞬く間に普及しました。
19世紀半ばにヨーロッパ全土で発生したジャガイモの疫病は、多くの庶民がジャガイモを主食としていたアイルランドに破滅的打撃を与えます。餓死者や国外脱出者などで全人口は約半分にまで減り、経済だけでなく、民族文化にも大きな影を落としました。


「Famine」by Edward Delaney
ダブリン中心部のセントスティーブンスグリーン公園にある大飢饉をモチーフにした像


こちらでは「Great Famine(大飢饉)」として知られているこの「ジャガイモ飢饉」は、当時の宗主国であるイギリスのとった対策がまずかったがために起こった人的災害ともいわれていて、結果としてこれをきっかけにアイルランドは独立への歩みを速めたと考えられています。


それから150年以上たった今もなお、ジャガイモはアイルランドの食卓を支え、人々から愛され続けています。
煮てよし、焼いてよし、茹でてよし。どんな料理とも相性がよく、栄養もたっぷり。
ジャガイモはずっとそばにいてくれる。ジャガイモはアイリッシュの親友です。